いろいろな声の病気1
1.生まれた時から声がおかしい
主に以下のような先天性奇形がうたがわれます
- 声帯の前方が水かきのようにくっついている声帯横隔膜症
声帯に溝がある声帯溝症
声帯の一部に袋のようなものができる先天性声帯嚢腫
時に、声帯のどちらかが動かない反回神経麻痺や
ウィルス感染による良性腫瘍である喉頭乳頭腫もみられます。
音声外科専門医に相談しましょう。
2.2歳~5歳くらいで急に声がおかしくなった
- この年齢で急に声がかすれる場合、ほとんどがウィルス、細菌感染による 急性喉頭炎
仮性クループ
喉頭ジフテリアなどですが、これらの場合気道が狭く窒息の危険もあるため緊急を要する場合もあります。 すぐに耳鼻咽喉科を受診してください。
3.幼稚園から小学校低学年で活発だが声がかれている
教師や親が声がれを気にして来られることが多い。
- 声の使い方の誤り、声の乱用が原因で声帯炎、声帯結節をおこしている場合があります。主に活発な男児にみられ、発声についての簡単な指導で経過をみることで、多くは思春期までに治癒しますが、その時期を過ぎると声の改善のためには音声外科が必要な場合があります。 音声外科専門医に相談しましょう。
4.思春期になっても声が高い、声がひっくりかえる
全身的にはまったく健康な思春期の男性にみられ、”弱々しい、不明瞭な声”です。変声期障害といって、音声治療をしながら管理してゆきます。
音声外科専門医に相談しましょう。
5.かぜをひいた時、あるいは突然声がでなくなった
発熱などのかぜ症状とともに、突然声が出なくなることがあります。これは急性喉頭炎といって、気道の炎症によって、分泌が低下し、声帯が乾いてしまうことにより、一時的な声がれとなるものです。多くの場合2-3日でよくなりますので、この間無理な発声をひかえて耳鼻咽喉科でかぜの治療を受けましょう。まれではありますが声帯の神経にウィルスがついて、反回神経麻痺を起こすことがあります。
この病気は甲状腺腫瘍、肺ガン、食道ガンなどによっても起こる病気ですので詳しい検査が必要です。
その外にも、声の使いすぎで声帯ポリープ,喉頭肉芽腫,過緊張性発声障害などの病気になることもありますので、なるべく早く耳鼻咽喉科専門医に相談しましょう。心配なら、音声外科専門医に相談しましょう。
6.声をよく使うが、徐々にあるいは(カラオケのあと)急に声がおかしくなった。
声をよく使う職業といっても様々ですが、40-50代男性で、声の乱用、誤用による発声困難感を感じたら
過緊張性発声障害の可能性があります。この病気は声帯には大きな異常が見られないことが多く、音声治療が必要です。歌手、俳優、アナウンサーなどによくみられる病気として、声帯ポリープ、声帯結節が有名ですがこれらは音声外科治療の最もよい適応です。音声外科専門医に相談しましょう。
近年カラオケの普及によって一般の人々にも声帯ポリープになる人が増えています。急に大声で歌うことによって声帯の血管が破れ血豆のようになるのが原因です。無理な発声は控えて、休み休み歌うようにしましょう。また、若い女性のスポーツインストラクターや保育士、カラオケ愛好家には声帯結節になる人が増えています。音声外科専門医に相談してみてください。
7.たばこをよく吸うが、声がおかしい、出しにくい。
たばこの害はいろいろといわれていますが、喉頭に対する影響も大きなものがあります。まず、男性で長年たばこを吸っていて最近声がかすれるという人は、慢性喉頭炎や声帯白板症が疑われます。これらの病気は放っておくとガンに変わることもあるため早期に治療すべきです。ひとつの目安としてブリンクマン指数というものがありますが、これは1日に吸うたばこの本数×吸った年数を計算して、この数字が400とか600以上のひとは一度耳鼻咽喉科医に診てもらうことをお勧めします。女性の場合には1日20本、10-15年吸っていると次第に声が低くなり、声が出しにくくなってきます。これはポリープ様声帯という変化が起こっている可能性がありますので、音声外科専門医に相談して下さい。
最後に、最も我々も患者さんも気にするのが喉頭ガンです。喉頭ガンの多くは声帯にできるため声がれが一番多い症状ですが、中には痛みも声がれもないために気づいた時にはかなり進行していることもあります。気になったらすぐに耳鼻咽喉科を受診してください。
8.全身麻酔の手術、胃カメラをうけたあと声がおかしくなった。
全身麻酔で手術を受けた人の多くは気管にチューブを入れて麻酔をかけられています。このチューブが声帯の神経を刺激して声帯が動かなくなり声がかれるのが反回神経麻痺です。また、このチューブや胃カメラの刺激で声帯の後方に喉頭肉芽腫という肉のかたまりのようなものができることもあります。音声外科専門医に相談してください。
9.その他
このほかにもいろいろな声の病気がありますが、気になることがあれば自分で悩んでいないで、音声外科専門医になるべく早く相談して、適切なアドバイス、治療を受けるようにしてください。
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川﨑耳鼻咽喉科クリニック